ウイグル民族運動指導者ラビヤ・カディール女史講演会(平成30年2月9日@東京)

中国の新疆ウイグル自治区では「自治」などまったく保障されておらず、すさまじい人権蹂躙、民族浄化が行われています。

ウイグル民族運動指導者ラビヤ・カーディル氏の講演の大意を動画から書き起こしました。この惨状をぜひ、周りの人にも知らせてください。

今日はわが民族の運命に関心を寄せていただき、ありがとうございます。わたしは2005年に中国の刑務所から釈放されてから、日本に毎年1~2回来ています。その間、一貫して、日本の国民のみなさん、政治家、関連団体のみなさまから絶大なるご支援をいただいてきました。

わたしたちウイグル人はもとより、チベット人、モンゴル人は、中国のすさまじい弾圧を受けています。中国の欺瞞、残虐さ、これについて、わたしたちは一貫して国際社会に訴えて来ました。

中国は当初東トルキスタン(=ウイグル)を占領するとき、ウイグル人には、自由、解放、民主主義、自治権を与えると約束しました。それまで、わたしたちは一度も中国に負けたことはありませんでした。わたしたちは何度も中国の侵略を退けて、ずっと独立を保ってきました。しかし、わたしたちの運命はヤルタ会談(※註:1945年2月に行われた国際会談)で売られてしまったのです。いまだにわたしたちは彼らに売られています。ウイグル人だけではなく、チベット人も、モンゴル人もです。本来こういう大国(※註:イギリス、アメリカ、ソビエト)は、我々の惨状に対して声を出すべきなのに、いまだにビジネスのためにわたしたちを売り続けています。わたしたちは外国で国連を含め、各国政府、議会、外務大臣、国会議員などに訴え続けていますが、中国による虐殺は止まったことがありません。

中国は国際社会の沈黙を利用して、わたしたちを好き放題に殺し、弾圧、抑圧しています。2017年から今日までの数々の虐殺の実態を少しだけ紹介しましょう。

中国当局はチベットですさまじい弾圧を行った男チンチェンゴ?を東トルキスタンのトップに抜擢して、彼に東トルキスタンを任せています。彼が来た途端、ウイグル人のパスポートを取り上げたり、集中キャンプを開いたり、さまざまに弾圧が高まっています。彼が発明したのは、集中キャンプです。再教育キャンプまたは、政治学習学校という綺麗な名前をつけています。そこに1か所で、5千人、1万人、3万人という数のウイグル人を収容しています。

もうひとつの名目はウイグル人を正しい道に導く、彼らを正しい考えに変える、ということのようです。このいわゆる政治学習学校に連れていかれる人たちは、頭に黒い袋をかぶせて犯罪人のように連れていかれます。一体どんな学校が頭に袋をかぶせて人を連れて行くというのでしょうか。

集中キャンプに連れていかれた若い人の親たちが、子どもをどこへ連れて行ったのか、と警察に聞きに行くと、親たちも一緒にキャンプに連れて行かれます。

恐怖のもとで、ウイグル人は政府に何の声もあげられないという状態に陥っています。

今度は外国にいるウイグル人に魔の手が伸びて来て、親戚、家族、知り合い、友人との連絡が一切遮断されてしまいました。いわゆる政治学校に大勢のウイグル人が連行されたために、街では男がほとんど残っていないような異常な状況になっています。

中国はまたウイグル人の宗教に対してすさまじい弾圧を続けています。ウイグルの政府機関内の人たちを弾圧するために「2枚舌」というスローガンのもとで粛清を行っています。

2枚舌、つまり、顔を2つ持っている、そういう人たちを粛正するというキャンペーンを大々的に展開しています。

“2枚舌”という罪のもとで、ウイグル人のインテリ層、作家、芸術家、詩人、歌手、音楽家、画家など社会の上層部にいる人たちが次から次に逮捕されています。

中国のために同胞であるウイグル人の血を流した裏切者たちまで、ウイグル人だという理由で殺しています。たとえば警察だったり、国家安全部門のメンバーだったり。そんなウイグル人の血で手を染めたような人まで粛清の対象になり、再教育キャンプに入れて思想教育をされているのです。1万人、2万人、5万人も入るキャンプが満杯です。それでもまだ中国はキャンプをつくり続けています。

わたしはここで、キャンプの中の状況を少し紹介します。まずこの人たちには1日2食しか与えられません。本来の設計人数を大幅に上回ってしまったので、12人入るところに48人入れたりといった異常事態が起きています。

いわゆる政治学校では、孔子とか孟子とか、中華思想について勉強させられます。

習近平は偉大である、中国共産党は偉大である、中華民族は偉大である、と歌わせたり、踊らせたりしています。

また、1回以上外国へ行った経験がある人は拷問、暴行し、刑務所に入れて、7年以上の刑を言い渡しています。

中国本土から何もわからない中国人の若い兵士を連れて来て、逮捕されたウイグル人たちを好き放題暴行させたり、若い女性であれば、乱暴したりといったことも日常茶飯事です。

逮捕された人が多すぎて、親を失う子供も多く、そういう子どもたちはストレートチルドレンになっています。

そのためにまた新しい収容キャンプをつくって、子どもたちもまたキャンプに入れられています。

彼らは国内におけるすさまじい弾圧に加え、国外にいるウイグル人にも魔の手を伸ばしてきました。国内で逮捕したウイグル人たちを脅して国外の親戚などに電話させるのです。あいつらを呼び戻せ、来なければおまえたちが大変な目に遭うぞ、と脅して、外国のウイグル人たちを呼び戻し、そして戻ったウイグル人を収容キャンプに入れています。

このことが始まった直後、わたしたちは当然国際社会にこの現実を訴えはじめました。最初は国際メディアも、わたしたちを支持してくれているはずの人権団体さえも信じてくれませんでした。こんなひどいことが現実に起きているはずがないと。

そうした国際社会の反応を受け、ラジオフリーアジアというウイグル語のラジオ放送に、この問題を大々的に放送してもらうようにしました。それがだいぶ国際社会に浸透し、今は国際的に有名なメディアがこの問題に注目するようになりました。

今はもう、状況が変わって、西側メディアが中心になって今のウイグルの惨状を国際社会に伝えています。80歳90歳の老人が拷問を受けています。ウイグル人の内臓が取り出されて売買されています。こういうことを国際メディアが報道するようになりました。

これはアジア人に対する警告です。

みなさん、考えてください。100万単位のウイグル人が集中キャンプに入れられて、虐殺されているのに、国際社会は黙っている、多くの人たちも黙っている、これはおかしいのではないでしょうか。

ウイグル人が受けているこのようなすさまじい虐殺は何時間かかっても語り切れない。この短い時間で、今は集中キャンプの様子について話すだけです。わたしたちには、たとえば、ラジオフリーアジアが集めている莫大な証拠の資料があります。わたしたちの団体がアメリカ議会や他のNGOに提出する資料も山ほどあります。国際メディアがインターネットを通して配信している資料もインターネットにたくさんあります。探して読むことも可能です。

これらからわかること、それは、中国は人類の道徳の規準に宣戦布告しているということです。また、クルーアン(コーラン)、ハディース(※註:イスラム教の預言者ムハンマドの言行録)を取り締まり、クルーアンを読んでいる人を殺しています。これはイスラム世界に対する宣戦布告です。西側のどこかでクルーアンが1冊焼かれたら世界中のムスリムが動き出すのに、ウイグルでは100万冊焼かれても黙っている、ということには驚かされます。

みなさん、考えてみてください。ウイグル人が百万単位で虐殺されている、侮辱されている、それなのに、国際社会は中国と引き続き、ビジネスを続けている。わたしたちが今国際社会に訴えているのは、各国の自由な民主的な議会があれば、中国に対してすぐに虐殺をやめるよう声明を出すべきだということです。

全世界のメディアが東トルキスタンに行くべきです。最大のニュースはそこで発生しています。それを書かないジャーナリズムは一体どういうジャーナリズムで、なんのためのジャーナリズムなのでしょうか。それすらも報告できないジャーナリズムは何ができるというのでしょうか。

わたしたちはまた、ノーベル平和賞を受賞した人たち、ラプト平和賞?を受賞した人たちに呼びかけたい、あなたたちは何のために平和賞をもらったのか。

ウイグルであれだけすさまじい数の子どもたちが殺されているのに、子どもの人権を守っている団体は一体何をしているのか。

だからわたしたちはここで、日本の、そして世界のみなさんに呼び掛けたい。ウイグル人の虐殺をやめ、このファシスト的なキャンプをただちに閉鎖するよう、政治家たちに働きかけてください。

もしみなさんがわたしたちのために立ち上がらずにいたら、3年以内にウイグル人はこの地球上から姿を消すでしょう。みなさん、考えてください、20世紀にどこの国が敢えて世界の前で、100万人単位であのファシスト的なキャンプに入れることができるのでしょうか。人道はどこに消えたのでしょうか。

本来なら、中国共産党の支配のもとで苦しんでいる中国人もウイグル人のために立ち上がるべきです。彼らの将来はわたしたちの現在なのです。

最初は東トルキスタンにおける逮捕、キャンプへの収容はウイグル人が対象でした。しかしカザフ人、キルギス人、タタール人など、同じトルコ系民族の彼らも、今は対象にされています。

どうかお願いです。1人が10人、10人が100人に、この声を日本に、世界に広めてください。