プーチンのウクライナ侵攻を考える

令和4年2月からのロシアのウクライナ侵攻を擁護する人がネット上に多いことに驚いています。大手メディアを信用できない、というのはもっともですが、木を見て森を見ずの状態になっている人が多いように感じます。

ウクライナ東部でロシア人が虐殺されているというのは事実のようですが、ウクライナ兵士もこの8年で1万5千人も殺されていますから、これはウクライナ側から見れば、決して一方的なジェノサイドではなく、双方が攻撃しあう内戦です。

プーチンが西側資本を追い出して経済を復興させたのは事実かもしれませんが、決して清廉潔白なわけではなく、ムチャクチャ不正蓄財もしています。
プーチンは黒海沿岸にベルサイユ宮殿のような豪華な宮殿を所有。その敷地面積は山手線の内側より広く、ヘリポート、劇場、ワイン醸造所まで備えているとか。動画あり https://www.youtube.com/watch?v=MAPkNRmXQvc

そして、これを暴いた反体制派指導者ナワリヌイ氏を、プーチンは容赦なく毒殺しようとしました。他にもロシアの元スパイなどを毒殺したと見られています。冷酷な殺人者です。自分への批判は許しません。
プーチンを批判する曲をガールズバンドが広場で演奏すれば、いかめしい顔をした警察がやって来て、いきなり鞭でビシッ!と叩く。
威勢のよかった彼女たちも一瞬にして顔を青ざめさせ、演奏終了してすごすごと退散。そんな国です。
言論の自由のない、独裁国家。(今回プーチン反対のデモが起きているというのはきわめて異例のこと)

「安倍死ね」と何万回言っても逮捕されない日本とは大違いです。中国よりはましでしょうが。

ウクライナ領内のロシア人を保護する、というのはプーチンがウクライナを侵略するための名目に過ぎないのではないでしょうか。プーチンはソ連のKGB出身で過去の栄光が忘れられず、ソ連時代の栄光を取り戻したいのでしょう。

「ウクライナはもはや反ロシアではない。ロシアはロシア世界、ロシア国民、すなわち大ロシア人(注=ロシア)、白ロシア人(注=ベラルーシ)および小ロシア人(注=ウクライナ)を集結させ、歴史的完全性を回復している」これは、ロシア国営通信が誤配信してしまった予定稿の抜粋です。ロシアはキエフを2日で陥落させる予定で、陥落した翌日の新聞にこの予定稿を掲載する予定だったと考えられています。(原稿の全訳はこちら。その大阪弁バージョンもあります。予定稿がご配信された背景はこちら)まずはウクライナに親露的な傀儡政権をつくるのが目的だったことがこれでわかります。さらにその先には完全な統合も見据えているように読めます。

そもそもどうしてウクライナ東部にロシア系住民が多いのかといえば、話はソ連時代に遡ります。スターリンがウクライナの小麦を外貨獲得のために輸出して、大飢饉を生じさせ、それによってウクライナ人は約600万人(数え方によっては400万~1400万人との説も)も餓死させられたのです。無茶な量の小麦を供出させられ、落穂を拾うことさえ犯罪とされ、飢餓から人肉食まで横行したといわれています。この人口的飢饉による大量虐殺(「ホロドモール」と呼ばれます)で人口が激減したために、そこへロシア人を移住させたのです。

ウクライナ系住民も多くはロシア語を話すのは、それをソ連時代(とその前の帝政ロシア時代から)に強制されたからです。

だからウクライナ人は二度とあんな目にあってたまるものか、二度とロシアに侵略されてなるものか、と士気が高いのです。ロシアの行動を「DV男が元カノに復縁を迫っているようなもの」と評する人もいます。

プーチンがディープステートと闘っているのかどうか以上に日本人が注意を払うべきは、ロシアが日本の領土を今も不法に占領しているということ(北方領土)、そして更なる侵略を狙っているということでしょう。

プーチンは以前、「アイヌ民族をロシアの先住民族に認定する」という考えを示しました(2018年12月、モスクワでの人権評議会)。「自国民(=アイヌ民族)の保護」を名目にロシアが北海道に乗り込んでくる危険性があるということです。(参考動画:ウクライナ危機は他人事じゃない!北海道がアイヌの自治区に!

もうひとつ、今回の件から日本が得るべき教訓は、国を守るに際し「他国は頼りにならない」ということです。ソ連時代にはウクライナにも核兵器が配備されていた。それをウクライナは途中で放棄しました。核拡散を怖れる先進諸国はウクライナに核放棄させる代わりに「ブダペスト覚書」を交わしてウクライナへの安全保障を約束しました。署名したのはロシア、アメリカ、イギリスです。

このブダペスト覚書には「仮にベラルーシ/カザフスタン/ウクライナが侵略の犠牲者、または核兵器が使用される侵略脅威の対象になってしまう場合、ベラルーシ、カザフスタン、ウクライナに支援を差し伸べるため即座に国連安全保障理事会の行動を依頼する」という項目があります。

しかし、国連安全保障理事会の常任理事国にはロシアや中国が入っています。そのうちの1国でも拒否権を行使すれば、国連は動けません。つまり、国連はこのようなとき、何ら有効に機能しない、ということを肝に銘じておく必要があります。

他の署名国であるアメリカもイギリスも、今回ウクライナに派兵することはせず、経済制裁が関の山。いざという時、他国は頼りにはならないということです。

日本はこれを教訓に、もっと自国の防衛に力を入れるべきと思います。

美絵似顔絵イラスト

自然療法家 安田美絵

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