渋谷流奉崇会の「御的神事」の締めくくりとして、さる6月3日に「的流し」を行いました。弓で射る的を焚き上げて、その灰を渋谷川に流すというものです。
会長が苦労してつくった的に、会長自身が火をつけました。なかなか燃え始めないように見えましたが、燃え上がってからはあっという間でした。
冷ました灰の一部を器に入れて、お供えものと一緒に運びます。
1列になって渋谷の街を歩きました。その間、私語は禁止。街の人も、不思議そうにしながらも、会釈してくださったり、行列に道を譲ってくださるなど、敬意を持って受け止めてくださっている様子が感じられました。
現在の渋谷川はコンクリートで護岸を固められ、水量もほんのわずかとなっていますが、澁谷家の家伝ではこの渋谷川が「渋谷」という谷をつくった、まさに渋谷の主であり神様なのだそうです。
渋谷川まで来ますと祭主である会長自ら渋谷川の神様に祝詞をあげ的の灰を川の上からまき清めました。次に酒、塩、米粒をそれぞれほんの少しずつですが、川に撒くと、それらのお供えが光を受けてキラキラと輝きながら、川に落ちてゆきました。
海や川面を見るだけで心を癒される……そんな習性というか、本能のようなものを人間は誰しも持っています。それなのに、現代では川が人間の生活からほとんど切り離されてしまっています。「ウォーターフロント」という言葉が一時期流行ったのは、そんな川の心理的な癒し効果を暮らしに復活させようという動きだったと認識していますが、いつかそんな言葉もあまり耳にしなくなり、相変わらず川は、特に都会の人の暮らしからは隔絶されています。
今は殺風景な渋谷川も、いつかかつてのような人とのつながりを取り戻し、護岸に緑が復活し、魚が泳いだり、蛍が飛んだりするような自然を取り戻してほしい……そして今回の的流しが、川と人との関係を復活させるための嚆矢となってほしい……と夢を語る澁谷会長でした。
この的流しの儀式をもって「御的神事」がやっと完了を迎えました。伝統行事の復活が一度きりで終わらず、この先ずっと続いていくことを、そしてそれが日本人が日本の心を取り戻すための一助になることを願っています。
この的流しの儀式をもって「御的神事」がやっと完了を迎えました。伝統行事の復活が一度きりで終わらず、この先ずっと続いていくことを、そしてそれが日本人が日本の心を取り戻すための一助になることを願っています。
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