東京海洋大学(最近のわたしにとっては因縁の大学ですが、笑)学園祭にて映画「Behind the Cove」を見てきました。
捕鯨反対の立場から白人が撮った映画「The Cove」を反証する日本人女性監督(八木景子氏)による映画です。
「昔はアメリカやイギリスなんかが大々的に捕鯨をしとった。あの頃の鯨は賢くなかったんかいね?」とつぶやく地元のお年寄り。
その言葉は、「鯨は人間と同じような知能を持った賢い動物だから、殺すのは残酷でかわいそう」という白人の独善に対する痛烈な皮肉です。
国際的に商業捕鯨が禁止されたのが1972年。
その年の国際会議でアメリカは、自国が遂行するベトナム戦争が環境破壊につながっていることを非難され、その批判をかわすために、別の問題に焦点を当てようとした……それこそが日本の捕鯨の問題だった、というのがこの映画の肝となっています。
日本の鯨漁は昔からずっと持続可能な方法で行われて来た。アメリカのような乱獲はしなかった。それが鯨を絶滅に追い込むかのように難癖をつけられ、調査捕鯨という名目でしか捕鯨ができなくなってしまった。科学者は誰も日本の捕鯨が鯨の生態系を破壊するなどと言っていない。それはあくまでも政治的なプロパガンダに過ぎない、というのです。
グリーンピースやシーシェパードなどの環境保護団体が鯨やイルカの保護に熱心なのは、それが寄付金を集めやすいテーマだから。
という証言もでてきますが、それも大いに納得です。
一方的に自分たちの価値観を押し付けてくる過激な動物愛護団体や、政治的立場から嘘のプロパガンダを流すアメリカの政府などに対し、毅然として、頑としてNO!を言える日本であってほしいです。
シーシェパードの代表の娘だったか、若い女の子が「わたしたちは太地町(和歌山県のイルカ漁をする町)をよくしたいんです」と言うのに対し、太地町の町長さんが「太地町のことは太地町の町民が決める。あなたが太地町に住民票を移すなら、その時からあなたの言い分を考え始めますよ」ときっぱり言っていたのは潔かったです。
映画の中で、アメリカのスミソニアン博物館の中で、一般の観覧者にインタビューする場面がでてきますが、多くの人々は鯨を食べることを特にどうとも思っていません。
過激に反対を主張するのはごく一部の過激な人々。でも声が大きいから、
それが西洋文明全体を代表する声のようになってしまうのです。
声をあげたほうが勝ち!ということも考えさせられたことでした。
多くの日本人は奥ゆかしくて、あまり主張をしないけれども、でもやっぱり声をあげなきゃ、ですよ。
東京海洋大学には鯨の骨を展示した博物館があったり、学園祭ということで鯨肉を食べさせてくれる模擬店もありました。
上映前には卒業生だという小野寺五典防衛大臣の挨拶があり「これからは漁業資源をいかに持続可能な方法で利用するかということで国際的な話し合いが必要になってくる。日本がそのリーダーとなるべきで、それを担うのが、この大学の卒業生だ」と言っていましたが、乱獲による漁業資源の枯渇は世界全体に関わる重要な問題です。ぜひその言葉どおりの役割をこの大学に期待したいものです。