沖縄、やんばるの森散策

沖縄本島北部、やんばるの森国立公園をガイドさんに連れられて散策してきました。この季節あちこちで白い花を咲かせているのは、「いじゅ」という沖縄・奄美諸島の固有種。やんばるを代表する植物です。

いじゅ
いじゅ
ノボタン
つばきの実
アオノクマタケラン

アオノクマタケランは、クマタケみたいな葉っぱの蘭、という意味の名前だそうですが、竹とも蘭とも関係ない、生姜の仲間だそうです。ただしその葉は食物を包んで保存するのに利用されていたといいますから、その意味では笹の葉と同じですね。胃腸に効く生薬としても利用されていたとのことです。

月桃

月桃は沖縄の植物として比較的有名ですが、これは沖縄原産の植物ではないのだそう。花の美しさ、葉の香りの良さなどから人気が出て、あちこちに植えられるようになりました。月桃の葉のお茶なども近年人気です。名前も美しいですね。

いかにも熱帯雨林の雰囲気。

ヒカゲヘゴ

ヒカゲヘゴはシダの仲間。幹のように見えるものは植物学上は幹ではなく、年輪はありません。楕円形の模様は葉が落ちた跡で、葉は1年に10枚程度落ちて、新しいものが芽生えます。なので、この模様の数を数えることでおおよその樹齢(?)がわかるそうです。

ヒカゲヘゴ 楕円形の模様が美しい
ヒカゲヘゴの樹冠。新芽はゼンマイっぽい
ヒカゲヘゴ

ところどころで地面にヤマモモの実がたくさん落ちていました。

ヤマモモの実

タネが大きくて食べられる部分は少ないのですが、甘酸っぱくておいしいです。

シークワサー

シークワサーは沖縄特有の柑橘類。木にはとげがあり、葉にも独特の爽やかな香気があって、タイのこぶみかん(マックルー)を連想させました。シークワサーの果汁だけでなく、葉っぱもお料理に使えそう! でも本土では手に入らないのが残念です。

ヒメハブ

ハブの仲間、ヒメハブ。現地では「ニブイハブ」とも呼ばれており、「ニブイ」は「鈍い」ではなく「眠たげな」という意味だそう。動きがゆっくりなので、そう呼ばれるそうですが、これもれっきとした毒蛇です。沖縄では頭が三角形の蛇は毒があるとのこと。ヒメハブもしっかり三角の頭をしています。ハブの類は観察しようと思ってもなかなか出会えるものではなく、かなりラッキーだとのガイドさんの評価です。

やんばるの森で一番有名な動物といえば、飛べない鳥、ヤンバルクイナですが、これは遠くに声が聞こえただけでした。昼行性ですが、明け方と夕方に行動することが多いそうです。捕食者がないために、飛べなくなったと考えられています。沖縄にはコウモリ以外の哺乳類がいなかったそうです。それがハブの駆除のためにと導入されたマングースによって捕食され、絶滅危惧種になってしまいました。

リュウニュウハグロトンボ

そしてもうひとつ印象に残った動物は「リュウキュウハグロトンボ」という小さなトンボです。雄の胴体が瑠璃色に輝いており、夜の闇の中でも発光するのではと思うほどの美しさ。写真だとわかりにくいですが、上のほうに映っています。

リュウキュウハグロトンボがいた地点

上の方にモコモコとブロッコリーのように見えている木はスダジイ。イタジイとも呼ばれ、小さなどんぐりが実ります。これが森の小動物の食料になるとのことです。照葉樹林を代表する木の種類です。

遊歩道の入り口に「命薬(ぬちぐすい)の森」という看板が立っていました。心が洗われ、生命力がチャージされる森、というほどの意味でしょう。まさに、植物の生命力に身も心も癒されるような、やんばるの森の散策でした。